『講談』とは|落語と違うストーリーテラーによる超没入コンテンツの世界

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江戸時代から語り継がれる超没入コンテンツ『講談』を体感せよ!

札幌から上京した私は、江戸時代から続く“日本の中心”である東京を体感したくて、あちこちを歩き回りました。例えば皇居。桜田門の前に立ったとき、自分が歴史の一点にいるような、不思議な感覚がしました。日本橋を歩き、銀座を抜け、歌舞伎座にも足を運びました。札幌では感じたことのない、“時の重み”に、静かに感動したのを今でも覚えています。

そんなある日、なんとなく足を運んだ落語の寄席。名前も知らないおじさんが座布団に座り、しゃべり始めた瞬間――涙が出るほど笑い、めちゃくちゃ面白かったのです。「もう一度行きたい!」と思って、再び劇場へ。

そこで私は、超没入体験をするのです。それが「講談」だったのです。

声、間合い、張り扇の一発一発。観客全体が、息を飲み、誰もが瞬きするのを忘れる緊張感。映画にも、音楽にもない、江戸時代から受け継がれる“語り”であり、“五感全てが飲み込まれる体験”でした。

私は気づけば、神田松之丞(現:伯山)さんを追いかけるようになり、ついには本人に直接こう聞いていた。
「講談師になるには、どうすればいいですか?」

答えは、驚くほど温かかく、「本気なら、師匠の神田松鯉を紹介するよ。」とまで仰って下さいました。

――結局、私は別の道を選びました。
でも、あのときのことをいつか恩返しがしたいと思い続けてきました。

YouTubeやラジオで“語り”を楽しむのも素晴らしいですが、講談だけは、ぜひ生で、本物で、体感してほしいです。
あの空気感と緊張感、そして身体でぶつかってくるような“声”の力を、是非体感して下さい!

「講談って何?」──語り継がれる“語りの芸術”とは…

『講談』とは…?

講談とは、語り手である「講談師(こうだんし)」が、張り扇(はりおうぎ)で釈台(しゃくだい)を叩きながら物語を語る伝統芸能です。映像や音楽はもちろん無く、扇子・張り扇・釈台を駆使しながら、物語の世界を立ち上げるのが最大の魅力です。

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講談師はよくストーリーテラーに例えられ、物語を第三者的立場から語る伝統芸能です。張り扇の「パン!」という音が響き、講談師の一言一言がその場にいる観客の五感すべてを刺激して、気付けば講談の世界に入り込んでいる没入感が特徴的です。

どんな話が語られるの?

講談で語られるのは、戦国武将のエピソードや歴史的事件、偉人伝、義理や人情にまつわる物語が中心です。たとえば、有名な「赤穂義士伝」や「真柄十郎左衛門」「天保水滸伝」など。これらの物語は、史実に基づいていながらも、“語る力”によってエンタメとして再構成されているのが特徴です。

「歴史はあんまり詳しくないけど…」という方でもまったく問題ありません。むしろ、その場で語られる内容にグッと引き込まれながら、“生きた物語”として歴史に出会えるのが講談のすごさです。

講談のルーツはどこにある?

講談のルーツは、戦国時代の“軍記読み”や、江戸時代に将軍の側で物語や知識を語り聞かせた御伽衆(おとぎしゅう)にさかのぼります。御伽衆とは、今でいうところの高い教養と話術を兼ね備えた“知的ストーリーテラー”のような存在で、将軍や大名の前で歴史や教訓を語る役割を担っていました。

彼らはただの語り手ではなく、儒学や兵学、詩文や礼法などに精通した知識人であり、政治や教育の側面でも大きな影響を持っていました。

こうした御伽衆の系譜が、後の「講釈師」へと受け継がれ、さらに明治・大正時代を経て「講談師」として現代に続いています。つまり講談とは、単なる大衆芸能ではなく、かつて将軍の耳を楽しませ、学ばせた“語りのエリート文化”の末裔なのです。

講談と落語の違いは?

落語のルーツも「御伽衆」!?

実は落語も、講談同様に「御伽衆(おとぎしゅう)」にルーツがあります。時代の流れと共に大衆向けに広がり、記録や教訓を語る「講談」と、日常を笑いで語る「落語」という2つの系統に分かれていきました。

【講談と落語の違いをわかりやすく】

観点講談落語
スタイル語り手がナレーション形式で物語を進める会話だけで物語を展開する演技型
道具張り扇・釈台扇子・手ぬぐい
内容歴史・事件・偉人伝・義理人情滑稽話・人情噺・世話話など日常系
雰囲気緊張感・没入感笑い・親しみ・温かさ
話し手の役割物語を操る“ストーリーテラー”登場人物になりきる“演者”

簡単に言うと、落語は“会話劇”であり、講談は“語り芸”です。観客を笑わせるのが落語。観客を物語に引き込むのが講談。どちらも素晴らしい芸ですが、没入感や緊張感を求めるなら講談はきっと刺さります。

『講談』|こんな人におすすめ!

講談は「歴史に詳しい人」や「伝統芸能マニア」だけのものではありません。むしろ、歴史は苦手だし、伝統芸能ってハードル高いと思っている人にこそ体感してほしいです。さらに、こんな方は、“語りの臨場感”と“本物の体験”に沼っちゃうかもしれません!

映画や舞台、物語が好きな方へ

映像がなくても、講談師の声と間だけで頭の中に物語のシーンが広がる感覚があります。
ナレーションだけで引き込まれるような映画や小説が好きな方は、きっと講談にハマります。

ライブ(音楽/お笑い/演劇)が好きな方へ

講談は、生の声・間・空気感のコントロールで成り立つ、“語りのライブパフォーマンス”です。
その瞬間にしか味わえない臨場感や緊張感を、肌で感じてみてください。

歴史や文化にちょっとでも興味がある方へ

難しく考える必要はありません。
講談は、歴史や人物のドラマを“語り”でわかりやすく届けてくれる芸です。
どんな知識もいりません。語り手が全部導いてくれます。

知的好奇心が強い方へ

「落語とは違うの?」「どこが面白いの?」と考えるその気持ち、もう講談に向いています。
調べれば調べるほど、見れば見るほど、“語りの世界”に沼っていくはずです。

どれか一つでも「自分に当てはまるかも」と思ったら、きっと講談の世界は、あなたにとって“刺さる文化体験”になるはずです。

講談を体感しよう!

「講談っておもしろそう。でも、どこで見られるの?何から始めればいいの?」そんな方のために、初心者でも気軽に講談を楽しめる方法をご紹介します。

1.YouTubeで気軽に“語り”を体験する

今は、人気講談師の講座をYouTubeで気軽に楽しむことができます。「講談ってどんな感じなんだろう?」という方は、まずこちらをどうぞ。

2.実際に“生の講談”を聞いてみる

本当の魅力は、やはり生でしか味わえない空気感と臨場感、没入感です。ラジオやYouTubeでは味わうことのできない生の講談を演芸場で聞いてほしい!

新宿末廣亭

上野広小路亭

https://t-navi.city.taito.lg.jp/spot/1323

現代だからこそ、生のコンテンツを体感してほしい!

講談とは、一人の語り手(ストーリーテラー)が、声とリズムだけで物語の世界を立ち上げるという、極めてシンプルで、でも奥深い芸能です。そのルーツは、将軍のそばで語っていた「御伽衆」にまでさかのぼり、日本人の知と物語を支えてきた“語りの文化”の真髄とも言えます。

最近では、YouTubeやSNSでも楽しめるようになってきましたが、本当の魅力は、やはり“生”の講談にこそあります。実は東京を中心に講談を聞くチャンスは多くあります。是非、江戸から引き継がれ続けた伝統芸能『講談』をご覧になってみて下さい。

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この記事を書いた人

【経歴】
ホテル運営会社(セールス) → Webマーケティング会社(セールス&マーケティング) → フリーランス(コーチング) → プロ野球選手ドライバー → 教師

子どもから大人、中小企業から大企業の経営者、トップアスリートや芸術家まで、様々な人と出会い、幅広いプロダクトを見てきました。
その中で、何度もこう思いました。
「もっと認められていいはずなのに…」
「もっと評価されていいはずなのに…」
けれど、どんなに素晴らしいものも、知られなければ存在しないのと同じという現実も知りました。
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そんな想いから、このサイトを運営しています。
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