共鳴の起点を作れ!|本能に差し込む【話し方の順番】

心に刺さるお話をされる方もいれば、なぜか話が頭に入ってこないと感じる方も正直いらっしゃいますよね。
その違いは、話し方のスキルや声の大きさ、トーンといった表面的なものだけでなく、誰でも今すぐ実践できる“話す順番”の違いにあるとしたら——。

人の心に届く言葉には、感情を揺り動かす“順番の秘密”があります。
「人は理屈よりも、感情で動く。」ということをご存知の方は、その感情を動かすためには、“共鳴の起点”をつくることが大切だということもご理解頂けるでしょう。

本記事では、相手の感情に差し込み、共感を生み出すフレームワークである『ゴールデンサークル理論』をご紹介いたします。
シンプルでありながら多くのシーンで活用できるこのフレームワークが、本質的な価値を届けたいと願うあなたにとって、少しでもお役に立てば幸いです。

目次

WHYから始める vs WHATから始める──伝わる人の「話す順番」

「株式会社〇〇で営業をしております。新規開拓を中心に、法人向けの提案営業を担当しています。前職は◯◯業界で…」

肩書きや実績も丁寧に説明された、まったく問題のない自己紹介です。
けれど、こちらはどうでしょう。

「単にモノを売るのではなく、“お客様の未来を豊かにするお手伝い”という思いで、法人営業に取り組んでおります、株式会社〇〇の△△と申します。前職は◯◯業界で…」

前者は“何をしているか(WHAT)”から話し始めていますが、後者では“なぜ(WHY)”その仕事をしているのかという想いが先に語られています。
同じことはプレゼンテーションにも当てはまります。

「今回の企画は、新商品のキャンペーン施策についてです。SNS広告を中心に…」

情報は伝わりますが、その背景にある「なぜこの企画をやるのか」という想い(WHY)が見えないと、聞き手の心にはなかなか届きません。
一方で、こんなふうに始めたらどうでしょう。

「“この商品を手にした人の生活が、少しでも快適になるように。”そんな想いを形にしたのが今回の施策です。」

“なぜ(WHY)”から始めることで、言葉が単なる情報ではなく、“感情”として届くようになるのです。
このように、「何を伝えるか(WHAT)」ではなく、「なぜそれを伝えるのか(WHY)」から始めるだけで、同じ内容でも、伝わり方には驚くほどの違いが生まれます。

では、なぜ“話す順番”がここまで伝わり方を左右するのでしょうか?
その答えは、私たちの脳の仕組みにあるのです。

脳の構造に合わせて伝える|感情を司る“大脳辺縁系”を知る

「人は理屈では動かない。感情で動く。」
この言葉を、どこかで耳にされたことがある方も多いのではないでしょうか。
実はそれは、脳の構造そのものがそうなっているからなのです。

人間の脳は、大きく3つの領域に分かれていますが、特にここで注目したいのは

  • 大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)
  • 大脳新皮質(だいのうしんひしつ)

この2つの関係性です。

大脳辺縁系:感情・本能・記憶を司る「感じる脳」

大脳辺縁系は、私たちの“感情”や“快・不快”を生み出す領域であり、「好き」「嫌だ」「なんとなくいいかも」といった直感的な反応は、まずここから始まります。

  • 「この人、なんか好き」
  • 「この話、共感できる」
  • 「よくわからないけど、気になる」

そういった“理屈ではない”感覚は、すべてこの部分が刺激されて生まれているのです。

大脳新皮質:論理・言語・分析を司る「考える脳」

一方で、大脳新皮質はより進化した脳の外側の部分で、
言語や理論的思考、計算や判断などを司ります。

つまり、「何を言っているのか」「どういう仕組みなのか」といった理屈の処理はここで行われています。

感情が先。だから順番が大事になる。

私たちは、「大脳辺縁系で“感じたあと”に、大脳新皮質で“理解する”」という順番で物事を捉えています。だからこそ、話し方もこの順番に合わせることで、スムーズに心と頭に届くようになるのです。

たとえば、WHAT(事実や特徴)から語られると、大脳新皮質は反応しますが、大脳辺縁系は動きません。情報は理解できても、「なんか響かない」「よくある話」として流されてしまいます。

一方、WHY(なぜそれを伝えるのか)から語られると、大脳辺縁系が刺激され、感情が動き、“共感”や“興味”が生まれます。

“感情が動いたあとに理解がついてくる”という脳の構造こそが、伝え方において「順番」が極めて重要な理由なのです。
そして、この順番に合った伝え方を実現するためのシンプルかつ強力なフレームが、 ゴールデンサークル理論です。

感情に差し込む|“ゴールデンサークル理論”とは?

“心に届く話し方”のフレームに、サイモン・シネック氏が提唱した「ゴールデンサークル理論」があります。
この理論では、話す順番を以下の3つに分類しています。

①:WHY(なぜ)

  • 行動や思考の根本理由。
  • 思い、信念
  • なぜやるのか、どんな未来を作りたいのか

「お客様の未来を共に描きたい」「日々のストレスを減らした」など根源的な考えを言語化したものが、WHY(なぜ)に当たります。

感情を司る“大脳辺縁系”に届くのは、このWHY(なぜ)の部分です。共感や興味、信頼はここから生まれるのです。強力なWHY(なぜ)ほど“共鳴の起点”となり、この後に続くHOW(どうやって)・WHAT(何を)が相手の心に深く刺さりやすくなります。

②:HOW(どうやって)

  • WHY(なぜ)を実現するための、あなたなりの方法論
  • 強みやこだわり、差別化できるポイント

「経営課題の本質を探り、中長期的な戦略を提案する」「軽さ・耐久性・デザインを全て兼ね備えたプロダクト」など、消費者や相手に対して届ける本質的価値がHOW(どうやって)に当たります。

HOW(どうやって)は、WHY(なぜ)を実現するための手段であり、相手が他との違いを感じる部分です。WHY(なぜ)との関係性が強かったり、整合性が取れていると強力なHOW(どうやって)になるでしょう。

③:WHAT(何を)

  • 具体的な商品、サービス
  • HOW(どうやって)を現実にするための方法

「法人営業」「軽くて撥水性のあるファッショナブルなバックパック」といった相手で手にする具体的なものがWHAT(何を)に当たります。

WHAT(何を)は、事実の説明であり、大脳新皮質が処理する論理的、分析的な情報です。冷静な判断や失敗を回避しようとする働きがあります。つまり、「本当に必要か?」「値段は高くないか?」「信じて大丈夫?」といった思考が起動するのです。

サイモン・シネック氏のTEDトークでも語られている

「人は“何をするか”ではなく、“なぜするのか”に共感して動く。」

この言葉は、TEDで世界中に広まった名フレーズです。

WHY → HOW → WHATという順番は、先ほど紹介した大脳辺縁系 → 大脳新皮質という脳の構造とも一致しています。だからこそ、自然と感情に届き、理解へとつながり、行動を生むのです。それが、「伝える」ではなく、「届く」ための順番の秘密なのです。

世界で最も有名な“WHYから始まるプレゼンテーション”

この理論を象徴する事例のひとつが、スティーブ・ジョブズによるAppleのプレゼンテーションです。彼は、商品のスペックや特徴(WHAT)から話し始めることはほとんどありませんでした。
まず最初に語られるのは、Appleというブランドの“思想”です。

「私たちは、現状を打ち破り、物事の考え方を変えるために存在しています。」(WHY)
「それを実現するために、美しく直感的な製品をデザインしています。」(HOW)
「そしてこれが、新しいMacBookです。」(WHAT)

この順番で語られると、製品が単なるモノではなく、“想いがカタチになったもの”として、人の心に届くようになります。

あなたの“共鳴の起点”を見つける

ゴールデンサークル理論を自分のものとして使うためには、まず“WHY=あなたの想い”を見つけることが重要です。

「なぜそれをやるのか?」
「どんな未来をつくりたいのか?」
「何に怒りや違和感を感じるのか?」

そんな問いに、自分の中で少しずつ答えていくことが、“共鳴の起点”をつくる第一歩になります。

例:自己紹介に応用する場合

普通の自己紹介(WHATから始まる)

「株式会社〇〇で営業をしています。◯年目になります。」

WHYから始めた場合

「営業という仕事を通して、“お客様の未来を一緒に描く”ことを目指しています。株式会社〇〇の△△と申します。」

このように、“なぜ自分はそれをやっているのか”を先に伝えるだけで、言葉が相手の感情に届き、あなた自身の価値が立ち上がるのです。

あなたの共鳴の起点を見つけるヒント

以下の問いを自分に投げかけてみてください。それは、あなたの中にある“想いの原石”を掘り起こす問いです。

  • 今の仕事・活動の中で、あなたが大切にしている価値観は?
  • あなたが心から「これだけは伝えたい」と思うことは何ですか?
  • これまでの人生で「なぜか惹かれたこと」「腹が立ったこと」は何ですか?
  • 誰かに感謝されたとき、それはどんな行動や言葉がきっかけでしたか?

共鳴の起点を作る

WHYは、最初から完璧に言語化できなくて問題ありません。大切なのは、まず「言葉にしてみること」です。
たとえ曖昧でも、一度言葉にしてみることで、そこから「HOW」や「WHAT」も少しずつ整理されていきます。

あなたの言葉が、相手の心に届くとき。そこには、必ず“共鳴の起点”が存在しています。

それは、強い語彙力やスキルではなく、“なぜ伝えたいのか”という想いの深さから生まれるものなのです。

ゴールデンサークル理論は、特別な人のための技術ではありません。誰もが持っている想いを、より正しく、より遠くまで届けるための道具です。

この理論を、自分の言葉として使えるようになったとき、あなたの伝える力はきっと、ひとつ上の次元へと進んでいるはずです。

ゴールデンサークル理論

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この記事を書いた人

【経歴】
ホテル運営会社(セールス) → Webマーケティング会社(セールス&マーケティング) → フリーランス(コーチング) → プロ野球選手ドライバー → 教師

子どもから大人、中小企業から大企業の経営者、トップアスリートや芸術家まで、様々な人と出会い、幅広いプロダクトを見てきました。
その中で、何度もこう思いました。
「もっと認められていいはずなのに…」
「もっと評価されていいはずなのに…」
けれど、どんなに素晴らしいものも、知られなければ存在しないのと同じという現実も知りました。
情熱と苦労を重ねて生み出された価値が、正しく届いていないのはもったいない。それが届けば、もっと多くの人を幸せにできるはず。
そんな想いから、このサイトを運営しています。
Hundred Workersは、価値あるプロダクトを 「最高の選択肢」として届ける場所です。
本当に良いものが、必要とする人のもとへ届くように。
このサイトが、そのきっかけになれば嬉しいです。

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