アサーティブ・コミュニケーションとは?実生活で活かすための基礎と実践法

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はじめに:アサーティブ・コミュニケーションとは?

アサーティブ・コミュニケーションとは、自分の意見や感情を正直に表現しつつ、相手に対する配慮も忘れない、バランスの取れたコミュニケーションスタイルです。このアサーティブな姿勢を身につけると、自己肯定感が高まり、相手との関係も円滑に進みやすくなります。

自己主張と相手への尊重が両立することで、健全で前向きな関係を築く手助けにもなります。この記事では、アサーティブ・コミュニケーションの基本的なポイントと、日常に活かすためのヒントをお伝えします。まずは、アサーティブなコミュニケーションに必要な4つのポイントを解説していきます。


アサーティブ・コミュニケーションの4つのポイント

アサーティブ・コミュニケーションを実践するためには、「率直」「対等」「誠実」「自己責任」の4つのポイントを意識することが重要です。これらを心がけることで、相手との対話がスムーズに進み、信頼関係を築くことができます。

1. 率直

  • アサーティブな態度の基本は、感情的にならず、率直に自分の考えや気持ちを伝えることです。ただし、相手への配慮を欠く表現や強い言葉は禁物。「率直」とは、曖昧な言い回しを避け、相手が理解しやすい表現で話すことです。
  • たとえば、仕事で提案をするときに「この部分について詳しい情報をいただけると助かります」といったように、要望をはっきり伝えながらも相手に配慮することで、信頼関係が築きやすくなります。

2. 対等

  • アサーティブなコミュニケーションでは、相手も自分も対等であることを前提とします。上から目線や威圧的な態度、あるいは過度にへりくだる姿勢では、対等な関係は築けません。心理的な上下関係があると、その態度は無意識に相手にも伝わり、健全な対話が難しくなります。
  • たとえば、上司と部下の会話であっても「そのご意見も理解しますが、私はこう考えています」と、相手の意見を尊重しながら自分の考えを伝える姿勢が、対等な対話を可能にします。このように、態度や心も「同じフィールドに立つ」という意識が大切です。

3. 誠実

  • 誠実であることは、アサーティブ・コミュニケーションにおいて欠かせません。意見が異なるときにも感情的に反論せず、相手の意見を受け止めながら、自分の考えも誠意を持って表現することが求められます。
  • たとえば、「私はこう感じています。あなたの意見も尊重しているので、両方を踏まえて進められたら良いと思います」と伝えることで、相手も安心して話ができ、双方にとって納得感のある結論を探りやすくなります。誠実な態度や丁寧な言葉遣いで信頼を築くことが重要です。

4. 自己責任

  • アサーティブなコミュニケーションを実現するためには、自己責任の意識が欠かせません。自分の発言や行動に責任を持ち、結果を他人のせいにせず「自分がこうしたからこの結果になった」と捉えることが大切です。発言しなかった場合も含めて「すべては自分の責任」と考えます。
  • たとえば、会議で発言せずに結果が思うようにいかなかった場合も「言わなかった自分に責任がある」と捉えることで、次にどう行動すべきかの改善策が見えてきます。このように、自分の言動に自覚を持つことで、アサーティブな態度が自然と身についていきます。

非アサーティブなコミュニケーションの特徴と改善方法

アサーティブとは反対に、非アサーティブなコミュニケーションには「攻撃的」「受け身」「作為的」という3つのタイプがあります。それぞれの特徴と、改善するための具体的なポイントについて説明します。

1. 攻撃的(アグレッシブ)

  • 攻撃的なコミュニケーションは、相手への配慮がなく、一方的に自分の意見を押し通すスタイルです。感情的な言い方で相手を萎縮させ、関係を悪化させることが多く、反発や誤解を招きがちです。
  • 改善方法一度深呼吸して冷静になる時間を持ち、相手に敬意を払うことを意識しましょう。「この言葉で相手にどう伝わるか?」と考える習慣をつけると、自然と攻撃的な態度が和らぎます。

2. 受け身(ノンアサーティブ)

  • 受け身なコミュニケーションでは、自己表現ができず、無理な要求も受け入れてしまいます。「嫌われたくない」「反論するのは気が引ける」という気持ちが強く、結果的にストレスや不満が蓄積しやすくなります。
  • 改善方法:「私はこう考えています」と一言でも伝える習慣を持ち、少しずつ自己表現に慣れていくと、自分の気持ちを言葉にする自信がつきます。

3. 作為的(パッシブアグレッシブ)

  • 作為的なコミュニケーションは、陰口や回りくどい態度で気持ちを表現するタイプです。直接伝えないために相手に誤解を与えやすく、不信感を生み出すことが多いです。
  • 改善方法「一言で伝える練習」を重ねることで、少しずつ素直な表現ができるようになります。「短く伝えてみる」と意識するだけでも、表現力が上がります。

アサーティブ・コミュニケーションを日常に取り入れるためのヒント

アサーティブ・コミュニケーションは、いきなり完璧を目指す必要はありません。少しずつ日常生活に取り入れ、感覚を掴むことが大切です。以下は、アサーティブの解像度を高めるための実践ヒントです。

  • 日常の小さなシーンで自己表現を増やす
    日常の会話で「Iメッセージ」を使い、少しずつ自分の意見や気持ちを伝える練習をしてみましょう。たとえば、「私は〜と思っています」「〜が助かります」といったシンプルな表現を心がけます。
  • 自問自答で振り返りをする
    毎日、一日の終わりに「今日はどんな場面で自分の意見を伝えられたか?」「アサーティブに行動できたか?」を振り返ると、自分の行動に意識が向き、少しずつアサーティブな姿勢が身についてきます。
  • 周りの人の言動から学ぶ
    周りにいるアサーティブなコミュニケーションが上手な人を観察し、言動や態度の良い部分を参考にしてみてください。日常の中で気づいた言動を自分に活かすことで、自然にアサーティブな態度が身につきます。

まとめ:アサーティブな態度を少しずつ実生活に

アサーティブ・コミュニケーションは、「自己主張と相手への配慮」を両立させるスキルであり、信頼関係や心地よい人間関係を築く鍵です。まずは、日常でできる小さなシーンで「自分の気持ちを一言で表現してみる」ことから始めてみましょう。

記事の内容を参考に、ぜひ一つ一つ取り入れながら、アサーティブなコミュニケーションを実生活に役立ててください。

この記事を書いた人

高校時代にはプロ野球選手を目指し、甲子園にも出場しました。大学まで続けた野球を通じて、コミュニケーション能力や忍耐力、チームワークなど、社会で大切なことをたくさん学びました。

卒業後はホテル運営会社に就職し、セールスに従事。その後、フリーランスでコーチングサービスを提供し、ITベンチャーにも再就職。さらにプロ野球選手の専属ドライバーを経験して、現在は教師として働いています。

こうした多様な職業経験と、スポーツで培った教訓を活かし、学校では教えきれない「社会で本当に必要なこと」を伝えるために、『Hundred Workers』を運営しています。

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